NOSAI長崎|長崎県農業共済組合連合会

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水不足

繁殖牛の一日の給水量はざっと体重の7~8%とされています。

体重400Kgで30リットルくらいってとこでしょうか。

もちろん季節で増減あるでしょう。

 

他にも肥育牛は体重100kgあたり15~20リットルとか、

乳牛は乳量の3~6倍とかいう大雑把な目安もあるようです。

 

ちなみに乳牛では

 

水の摂取量(kg/日)

=15.99+1.58×DMI(kg/日)+0.99×乳量(kg/日)+0.05×ナトリウム摂取量(g/日)1.20×最低温度(℃)

 

なんていう、科学的な計算法も存在します。

 

 

数頭飼いの繁殖農家さんですが、急性鼓脹症(ガス)が起きたり、食滞が多いところがあります。

先日も死亡事故が発生しました。

 

そして今日も、急患で呼ばれました。

 

かなり痩せているはずなのに、おなかがパンパンで、硬い糞。頻脈、左側で心雑音もあります。

体温やや下がり気味で、頭を下げると鼻孔から胃液(?)が少量逆流しているようにも見受けられます。

なんだか苦しそうです。

 

よだれがひどくて、もっと苦しそうならば食道梗塞も疑うけど、違うかな?。

 

給与していたのは、わら+配合飼料(繁殖用と育成用のミックス)+ふすま。そして、大根少々?

大根は薄くスライスしてたので、やっぱり食道梗塞ではないか。

そもそも、大根給与してるのはあまりないけど・・。

 

”第1胃食滞”を疑いました。(第4胃食滞もあるかもしれません)

 

そして、その農家さんで改善をお願いしていることが、頭をよぎります。

 

牛舎に水道が ”無い”・・・。(ついでに言うと電気も無い)

 

毎日、数十メートル離れた家の中から、バケツで水をくんで牛に飲ませるのだそうです。

行ったり来たりと、水やりだけでも重労働です。

 

時に牛はバケツ5~6杯もつづけて飲むんだとか。

(水中毒もあるので、一気に飲ませるのはよくありません)

 

「そりゃ、やっぱり水が足りないわ。

 

そう言って、いつものように水がなぜ大切かをお話しします。

 

もとい、説教します!

 

牛の唾液は重要で・・・

牛の胃袋にはたくさん微生物がいて・・・

胃袋の状態がいつも安定していないとダメで・・・

そのためには水分がとっても大事でね・・・

 

粘滑剤と消化剤を飲ませるときに15リットルほど水も投与したので、今回は大量輸液は行いませんでした。

 

帰りに農家さんが聞いてきました。

 

 

「先生、輸液はしなくていいですか?」

 

 

『うーん、そうだね。でも、この状況では時間をかけて大量輸液も難しいし、カテーテルで水を飲ませたしね。それよりも、自由に水を飲めるように、なんとかお願いしますよ。(私)

 

 

「そうか、今日は ”あんなにたくさん” 飲ませたから、もういっか。」

 

 

『いや、あの・・・けっして ”たくさん” ではないからね。(私)

 

 

伝わったかな・・。やっぱり牛舎のことは強く言いにくいな。

明日の処置を考えつつ、降参して戻るのでした。

 

 

p.s. 翌日から食欲が回復し、無事、経過観察となりました。

 

 

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