NOSAI長崎|長崎県農業共済組合連合会

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牛の乳房炎 エンテロコッカス

 

 

全国的に寒い日が続いていますね。

繁殖検診では、トレーナーを着たまま、長袖まくり上げの直腸検査をトライしましたが、

大きな乳牛では奥まで届かず、諦めていつもの半袖に逆戻りです。

直腸検査中は牛の体温で片腕だけは温かいのですが、1時間ずつ2農場続けて検診をやったら流石に体が冷えました。

 

今日は、牛の乳房炎原因菌の話題です。

先日、ある牧場の乳汁検査をやっていて牛の乳房炎からエンテロコッカス属(腸球菌)が分離されました。

エンテロコッカスは牛などの腸管内に常在し,病原性は低く,免疫が弱った時などに感染する日和見感染菌と位置づけられています。牛の乳房炎原因菌としても特別珍しいことではなく、この農場からは時々検出されます。

 

もともとアミノグリコシド系薬剤やセフェム系の抗生物質に対しては低度の自然耐性を持っていて、

さらにあらゆる薬剤に耐性を獲得しうることが知られており、耐性菌になりやすいとされています。

 

人医療で話題となっているバンコマイシン耐性腸球菌(VRE)は、まさにこの菌のことであり、vanA, vanBというタイプのものはバンコマイシン耐性遺伝子を他の菌に水平伝播しうることで、病原性の強い他の菌がこの遺伝子を獲得する事態が危惧されているのです。

 

すこし怖い話題を書きましたが、乳房炎の検査をしていて、著しく抗生物質の効きにくいエンテロコッカスは検出されていませんし、治療にもよく反応しています。

さらには、牛乳から分離されたエンテロコッカスがヒトへの感染症を引き起こす可能性が低いことも研究で明らかになっていますので、特に心配される必要はないでしょう。

 

しかし、我々、獣医師としても、家畜の糞便からも検出されるエンテロコッカスが多剤耐性菌になりやすいことを気にかけておく必要がありますし、安心安全な畜産物を生産する農場においては、抗生物質の選択は適切に行わなければなりません。

 

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